MARLEY-ROOTS OF LEGND-を観ました。
改めて感じること。もう何度もその強さと深さに打ちひしがれているのだけれど、改めて。ボブの音楽は、彼のライフやフィーリングをリリックにして、そのままリズムに乗せて唄う。ただそれだけなんだと。
およそ2時間半の映画の中のドラマティックな恋や闘いは、すべてボブが唄ったリリックにフィットしてきます。いや、逆ですね。ボブが唄ったリリックはすべて、ドラマティックな真実でした。
ボクが今まで知りえたボブの功績。
血を流して闘いあう、二つの政党の党首をステージ上でシェイクハンズさせた。ワン・ラブ・ピースコンサート。
アフリカの革命の獅子たちを奮い立たせ、みごと建国を成し遂げたジンバブエの開放運動とその祝典での出来事。
他のどのミュージシャンも成し遂げられない、歴史的価値さえ感じるボブの所業は、この映画でもリアリティ溢れる映像と、心に響く音楽で。改めて背筋がゾクゾクする想いで観ました。
でも、ボクが感じたこの映画の一番のハイライトは、もっとパーソナルで、でも切実なボブの血にまつわるエピソードでした。きっとこのエピソードは、この映画のために用意されたライブなドキュメンタリーです。
ボブと、ボブの父「ノーヴァル・マーリィ」と、その異母兄妹のストーリー。
Corner Stone♪♪♪
The stone that the builder refused
Will always be the head-corner stone
Sing it brother
The stone that the builder refuse
Will always be the head-corner stoneYou’ve a the builder baby
Here I am a stone
Don’t you pick and refuse me
Or the things they should choose
Do you hear me hear what I say
コーナー・ストーン♪♪♪
建築者に捨てられた石は
いつも片隅に追いやられた石の礎となる
なあ 兄妹よ
建築者に捨てられた石は
いつも片隅に追いやられた石の礎となるあなたは造る人 ベイビー
この石はオレだ
オレをつまみ出さないでほしい
彼らの選んだもののほうがいいのかい
聞こえるかい オレのいうことを聞いてくれ
※訳文は筆者の勝手な解釈を含みます。ご了承ください。
映画の中。この詩を、ボブの異母兄妹たちはイヤフォンで聴きます。父の顔さえまともに知らなかったボブです。この異母兄妹たちとも生前の親交はありません。兄妹たちは世界的に有名なボブの詩として「Corner Stone」は良く知る詩です。
そして、この詩に込められた真実の想いを伝えられます。「Corner Stone」は、ボブが白人の父に捨てられたことに対する想いを唄った詩です。
建築者に捨てられた石は
いつも片隅に追いやられた石の礎になる
捨てられた石は、父にとってのボブでした。そして、ボブは。捨てないでと懇願しながらも、いずれ隅に追いやられた弱くて悲しき人たちを導くものになることを宣言します。そんな詩です。
その意味を聞き、母の異なる妹は唇を震わせてこういいます。
彼は偉大な人。その言葉通りになった。
白人の父の権力と財産に守られた私たちの中で、
今でも名を残している人は誰一人いない。
異母兄妹に伝えられたボブのリリックの真実は
世紀を超えて、人々の心をヴァイブし続けます。
ボブの詩は生き続ける。そんな映画でした。
公開中にも関わらず、内容に踏み込んでしまいましたが、それでもより多くの人がこのドキュメンタリーに触れてくれることを祈ってます。
それから最後に。齢を重ねてもジュディ・モワットがとてもキュートだったこと。
神に感謝します。